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CATEGORY[タイ]
コメント[ 0 ] 2012年09月18日18:52
 タイ語で、「トム」は「煮る」という意味で、煮込み料理を総称する言葉だそうです。「ヤム」は「混ぜる」で、「クン」は「エビ」のことです。一般的には「トムヤム」で、「スープ」の意味になっているようです。このため「トムヤムクン」は、「海老が入ったトムヤムスープ」と紹介されることが多いようです。
 トムヤムスープは、辛くて酸っぱいスープです。酸味、辛み、ハーブの香りが一体となった味わい深いスープです。トムヤムクンの特徴といえる辛さは、プリッキーと呼ばれるタイの唐辛子のおかげです。トムヤムクンには、この唐辛子以外にもレモングラス、カー(タイショウガ)、バイマクルー(こぶみかんの葉)などのハーブを入れて、独特の風味を生み出しています。
 トムヤムクンの「クン」は「エビ」の意味ですが、トムヤムスープで別の具材を使うと、別の名前になります。例えば、海老の代わりに「鶏肉(ガイ)」を使うと「トムヤム・ガイ」、「豚肉(ムー)」を使うと「トムヤム・ムー」、「魚肉(プラー)」を使うと「トムヤム・プラー」、「イカ(プラームック)」を使うと「トムヤム・プラームック」、さらに魚介類を使った「トムヤム・タレー」など、いろいろな種類があります。(タレーは「海鮮」という意味です。)
 実は、トムヤムクンには、2種類あります。1つは、「トムヤムクン・ナームコン」で、もう1つは「トムヤムクン・ナームサイ」です。「ナームコン」とは「濃いスープ、濃い出汁」と言う意味で、ナームサイは「薄いスープ、薄い出汁」という意味です。もともとの意味は、「ナーム」は「水」、「コン」は「濃厚な」という意味、「サイ」は「澄んだ」という意味です。お店によっては、「ナームコン」を「こってり」、「ナームサイ」を「あっさり」と表現しているようです。「(こ)ってり」の「ナーム(コ)ン」、「あっ(さ)り」の「ナーム(サ)イ」と覚えると、覚えやすいです。
 トムヤムクンと言うと、濃いオレンジ色のスープの中に海老やタイハーブなどが浮かんでいて、ココナッツミルクが上からかかっているスープをイメージすると思います。このトムヤムクンが、「トムヤムクン・ナームコン」です。
 トムヤムクン・ナームコンのピリ辛の秘密は、タイの調味料であるナムプリック・パオです。ナムプリック・パオとは、チリ・イン・オイル(唐辛子味噌)と呼ばれている調味料です。干し海老、玉ネギ、ニンニク、唐辛子を油で炒めて、砂糖と塩を混ぜたものです。
 一方のトムヤムクン・ナームサイは、ココナッツとナムプリック・パオを使いません。このため、スープの色もナームコンほどは濃くありません。辛さもほどほどで、酸味がやや強い場合が多いようです。
 甘味、酸味、辛味を味わいたい人は、こってりスープのトムヤムクン・ナームコン、酸味と辛味が好みの人は、あっさりスープのトムヤムクン・ナームサイが適しているそうです。
 この香草(ハーブ)の香りが漂うトムヤムクンですが、体に良い料理なのだそうです。タイの名門大学の一つである、カセサート大学(Kasetsart University)のスワディ博士の研究チームと、京都大学の大東肇教授の研究チームが、タイの消化器系のがんの発生率が、欧米や日本などの他のアジア諸国に比べて半数以下であることに注目して研究した結果、トムヤムクンは抗がん性に優れた料理であると結論づけたそうです。これは、120種類もの食材を調べた結果だとのことで、信用できることだと思います。
 トムヤムクンに使われているカー(南姜)やバイマクルー(こぶみかんの葉)は、生薬としても利用されており、抗酸化作用がベータカロチンの数十倍から百倍あるそうです。また、レモングラスも消化器系の癌を引き起こす細菌の殺傷能力に優れているそうです。
 これらの効果だけでなく、トムヤムクンは栄養バランスもよく、ビタミンを効果的に摂取できる優れた料理でもあるのです。また、唐辛子の種子に含まれるカプサイシンには発汗作用があり、血流を強くする働きを持っています。さらに内臓脂肪の燃焼にも効果を発揮するため、トムヤムクンはダイエットにも最適のスープであると言えます。

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